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個人年金保険は必要か?

平成23年簡易生命表によると、
日本人の平均寿命は、女性85.9歳、男性79.44歳
なっており、世界でもトップクラスの長寿国です。

 

人生90年だとすれば、老後の生活は30年にもなり、そのための生活設計が重要になります

 

老後の生活の基本となるのは、国民年金や厚生年金などの公的年金です。
まずは、必要とする生活資金を試算し、将来自分がいくら位の公的年金を受取ることができるのかを確認することが大切です

 

 

老後の生活資金をまかなう手段としては、公的年金、企業年金、退職年金、自助努力による個人年金・貯蓄などです。

 

公的年金では、自営業者などは1階、サラリーマンは2階、公務員は3階構造となっています。

 

 

ですので、自分がどの公的年金に該当するのかを確認し、
将来どの程度公的年金から給付されるのかを試算する必要があります。

 

 

老後の必要生活資金は約27万円
総務省の家計調査によると、世帯主60歳以上の世帯で月間に支出している金額は、
約27万円となっています。
また、ゆとりある老後の生活資金は約37万円となっています。
(生命保険文化センター「生活保障に関する調査」より)

 

 

老後生活をささえる準備手段としては、公的年金が主な手段ですが、
それだけでは不足することが予想されます。

 

公的年金以外に必要と考える夫婦の老後生活資金月額の平均は、
60歳~64歳までの期間で19.8万円
65歳以降の期間では、15.8万円
となっており、何らかの自助努力が必要であることは明らかです

 

 

そうした中、現在準備しているもののうち、老後に期待できる準備手段(複数回答)として、
預貯金が1位ですが、次いで生命保険と個人年金保険が上げられています
(生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査」より)

 

そこで、公的年金を補完する個人年金保険がどのようなものなのか、見て行きましょう。

 

 

ひとくちに個人年金保険といってもいろいろと種類があり、取り扱っている
金融機関もたくさんあります。

 

 

生命保険会社では、「個人年金保険」と「変額個人年金保険」
取扱っています

 

「個人年金保険」とは、契約時に定めた年齢から、決まった年金額(基本年額)を受け取れる商品です。

 

「変額個人年金保険」とは、株式や債券を中心に資産を運用し、その運用実績に応じて年金額が増えることもあれば、減ることもある投資リスクのある商品です。

 

 

個人年金の主な種類
年金の受取期間は、「個人年金保険」「変額個人年金保険」ともに、
保証期間付終身年金(一生涯受け取れるタイプ)
確定年金(一定期間受け取れるタイプ)
があります。

 

保証期間付終身年金は、公的年金の上乗せ年金として、
確定年金は、公的年金の支給開始までのつなぎ年金などに適しています

 

その他個人年金保険の種類には、終身年金、有期年金、保証期間付有期年金、
夫婦年金、保証期間付夫婦年金、介護年金などがあります。

 

個人年金保険のメリット
 
1.契約時に定めた年齢から計画的に年金を確実に受けとることができる。
 
2.途中で引き出しができないので、半強制的に積み立てることができる。
 
3.保険料は、生命保険料控除の対象となり、払い込む保険料の一定額が契約者の所得から差し引かれて所得税・住民税の負担が軽減されます。また、「個人年金保険料税制適格型」を付加すると、生命保険料控除とは別枠で個人年金保険料控除を受けることができます。

個人年金保険のデメリット

 

1.保険料払込期間途中で解約した場合、元本割れすることがあります。

 

2.国内で営業している保険会社が破綻した場合、各契約の破綻時の責任準備金の原則90%までしか保証されません。

 

3.被保険者が保険料払込期間中に死亡した場合、生存保障重視タイプだと既払い込み保険料相当しか死亡保険金はありません。

 

4.年金受け取り時に雑所得として所得税・住民税が課税されます。(契約者・被保険者・年金受取人が同一の場合、契約者と年金受取人が別人の場合は贈与税が課税されますので注意しましょう)

 

5.被保険者が死亡した時、契約形態により相続税、所得税、住民税、贈与税のいずれかの課税対象となります。

 

 

 

変額個人年金保険とは
株式や債権を中心に資産を運用し、その運用実績によって年金や解約返戻金などが増減する投資リスクをともなう保険商品です。

 

変額個人年金保険のメリット

 
1.運用実績により将来の年金額が変動するため、あらかじめ契約時点で利率が決められている個人年金保険よりも将来にインフレリスクに対応しやすい。
 
2.運用実績により将来の年金額が変動するため、一般の個人年金保険よりもリターンが期待できる。
 
3.年金支払以降特約を付加することで、契約日から1年以上経過すれば解約返戻金をもとに年金受取が可能な商品もあるので、退職金の一部などを運用することもできます。
 
4.支払った保険料は、一般生命保険料控除の対象となります。
 
5.特別勘定(ファンド)で運用されるので、年金受取時や解約時まで課税が繰り延べられ、資金が課税されずに再投資されます。
 
6.契約者と被保険者が同一で死亡保険金受取が相続人であれば、死亡給付金のうち一定額が生命保険金の非課税金額となります。

変額個人年金保険のデメリット

 
1.運用リスクが大きい投資性商品である。
 
2.契約時初期費用や保険関係費用、運用関係費用などの諸費用がかかります。
 
3.一時払商品が多く、最低一時払保険料は50万くらいが必要です。
 
4.年金受け取り時に雑所得として所得税・住民税が課税されます。(契約者・被保険者・年金受取人が同一の場合、契約者と年金受取人が別人の場合は贈与税が課税されますので注意しましょう)
 
5.年金開始前に解約した場合、一般的には一時所得の課税対象となりますが、一時払の確定年金を加入後5年以内に解約した場合は、金融類似商品として受取金額と払込保険料の差益に対して、20.315%の源泉分離課税の対象となります。

 

老後の生活資金の準備としての個人年金保険や変額個人年金保険は、
資産運用として活用するのがいいのではないでしょうか。

 

ですが、資産運用を始める前に注意する点がいくつかありますので、ご確認ください

 

1.資産を区分して運用を考える
資産運用する前に、生活様資金・緊急資金・余裕資金の3つに分けます
そのうち資産運用には、余裕資金をあてます。
一般的に30代、40代は余裕資金はないが老後までの期間が長いため、
月々積み立てる方法が適しています。
50代は余裕資金が増えるので、一時払いで運用する方法が適しています。

 

2.運用方法を分散する
資産運用の方法はさまざまです。余裕資金をすべて同じ方法で運用した場合、
結果がよければ効果は大きいですが、結果が悪いと資産を大きく減らしてしまう
ことになるかもしれません。そこで、商品の特性を充分に理解したうえで、
運用方法を分散させて組み合わせることが重要です

 

3.長期間運用する
運用実績が悪くなると、すぐに運用をやめたくなるのが人情ですが、
一般的には長期運用すると、運用益をさらに運用することの効果を期待できます
また、一時的な要因による極端なマイナス(プラス)は、運用期間が長くなれば
平準化され解消される傾向があります。

 

【個人年金保険】と【変額個人年金保険】の違い

 

個人年金保険

変額個人年金保険

年金額

契約時に定められた利率(予定利率)などをもとに基本年金額を受け取れます。
(配当金による増額された年金額を受け取れる場合もあります)

据置期間の運用実績によって将来の年金額が決まります。「(将来の年金原資あるいは年金受取総額に関して一時払保険料分などを最低保証するものもあります)
運用 契約時に定めた予定利率が保証された一般勘定で安全性を重要視して運用を行います。 あらかじめ用意されている国内外に株式や債権などからなる特別勘定を、一般的には契約者が選択し運用を行います。特別勘定間の資金移動も可能です。
税金

一定の条件を満たして
税制適格特約を付加した個人年金保険料控除の対象となります。

「一般の生命保険料控除」の対象となります。

*出典「年金ガイド 見てわかる年金 AtoZ」(生命保険文化センター)より

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